新卒で入社!大手自動車メーカーの機械設計エンジニアになるまでの道のりとは?
大手自動車メーカーで冷却部品の設計を担当している現役の機械設計エンジニアにインタビュー!機械設計エンジニアになるまでの道のりをはじめ、現在携わっているお仕事の魅力、これからの夢についてお伺いしました。
- 株式会社マイナビEdge
- H.Mさん
PROFILE
- 自動車部品メーカーにて、FR系乗用車の熱交換器設計開発
- 自動車大手メーカーにて、乗用車の冷熱・空調部品設計開発
- マイナビEdgeのエリアマネージャーとしてメンバーの育成・管理
子供の頃から機械が好きで、壊れたものはバラして中身をみないと気が済まないと話す、ベテラン機械設計エンジニア。

子供のころから機械が好きだった
―機械設計エンジニアになりたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
子供の頃から機械に興味があり、プラモデルやラジコンが好きでした。小学校の卒業文集を見ると「機械を作る」という将来の夢を書いていたほどでした。それが私の機械設計エンジニアへの最初の一歩ですかね。もちろん専門学校では、機械に限らず、他の設計のことも勉強してきましたが、やはり機械が好きでしたね。
家電製品とか壊れたりしたら普通は捨てるのでしょうけど、私の場合は壊れても捨てないですね(笑)どうせ壊れているのだから、一度分解して作り直します。だいたい半分くらいは使えるようになりますね。
派遣エンジニアという働き方で、
技術者としての専門性を深め、より幅広い経験を積む

―新卒で派遣の機械設計エンジニアとしてのキャリアを選んだ理由は何だったのでしょうか?
最初から派遣エンジニアを目指していたわけではなく、設計開発に専念できる環境を求めていました。派遣会社であれ、メーカー社員であれ、その目的を達成できる環境であれば良かったので、働き方へのこだわりはありませんでした。探している過程で、大手企業などのメーカー社員より派遣エンジニアとして働いた方が、設計開発に専念できるのではないかと思いました。
―実際に、派遣エンジニアとして働いてみて感じたメリットは何でしょうか?
派遣エンジニアとしての働き方そのものが、私にとっては大きなメリットでした。設計開発業務に専念できますからね。様々なプロジェクトや先端の技術領域に触れることができ、さらに自分のスキルと経験を生かし、新しいことにチャレンジできる環境があります。
例えば、 大きな会社に入ると設計開発以外の業務や活動を求められますが、派遣エンジニアとして働くことで、そうした要求からは解放されて、本来の設計開発の業務に集中できる環境があります。これが、派遣エンジニアとして働く大きなメリットだと感じますね。
どんなに小さなタスクであっても、
最善を尽くすことに大きな価値がある
―派遣エンジニアとして、最初に配属された先は「自動車部品メーカー」とお伺いしました
はい。新卒でマイナビEdgeに入社してすぐの頃、自動車部品メーカーに配属されたのですが、新しい場所での仕事に対する不安よりも、ワクワクする気持ちが強かったですね。 当時はまだWindowsが普及しておらず、多くの人がMacを使用していた時代でした。配属された当時の私の最初の業務は、主にコピー取りや図面のFAX送信など、今考えると非常に基本的なものでした。
ただ、どんなに小さなタスクであっても、最善を尽くすことに大きな価値があると思っていたので、 新人の頃は貰った仕事を何でも全力でやっていましたね。
FAXで図面を送る業務ひとつとっても、 単に図面を送るだけではなく、端が白くならないようにカットして送ることで、受け取った人が見やすいようにという配慮をしていました。細かいことですが、そういった配慮が大切だと思っています。
―機械設計エンジニアとして、そこからどのようにキャリアを築いていくのでしょうか?
CADを使用した2Dの設計など、とにかく基本から念入りに学んでいきました。(以下当時の業務内容について教えて頂きました)
具体的な業務内容 | FR系乗用車の熱交換器設計開発 ラジエータ、モーターファン、エンジンファンシュラウド、LLCリザーバタンク、インタークーラー、オイルクーラー、配管・ホース類 |
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担当業務 | 図面作成(2D)、図面検図、手配書作成、レイアウト調整、 性能検討、実験計画&調整、工場&メーカー調整、不具合対応処理、設計見積り、原価低減検討 |
使用していたツール | ME-10、I-DEAS |
2年目からは、より大きな責任を担うようになり、工場との調整やクライアントとの調整業務などを経験しました。その後は、図面をチェックする側になりましたね。今は、多くの後輩エンジニアを受け入れ、教育する立場にもなりました。
マイナビEdgeには、 チームリーダー、グループリーダー、グループマネージャー、エリアマネージャーと役職があるのですが、私自身もチームリーダー、エリアマネージャーといった管理職へとステップアップしていきました。 現在はエリアマネージャーとして11グループ140名を管理しています。
自動車部品メーカーから、
大手自動車メーカー(完成車メーカー)へ
自動車業界での働き方は多様ですが、私は特に冷却システムの設計に関わりたいと思っていました。そのため、部品メーカーで8年間経験を積んだ後、大手自動車メーカー(完成車メーカー)へ配属希望を出しました。
大手自動車メーカー(完成車メーカー)では、冷却システム、特にラジエータやインタークーラー、クーリングファンなどの設計をしています。これらは、自動車のエンジンを適切な温度で保つために不可欠です。(以下現在の業務内容について教えて頂きました)
業務内容 | 乗用車の冷熱・空調部品設計開発 |
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担当部位 | ラジエータ、モーターファン、エンジンファンシュラウド、LLCリザーバタンク、インタークーラー、オイルクーラー、 配管・ホース類・ウォーターポンプ・コンデンサー |
担当業務 | レイアウト調整、手配書発行、3Dデータ作成、図面チェック承認、実車確認、工場&メーカー調整設計計画書作成&報告、見積り資料作成、原価低減検討 |
使用しているツール | 3D CAD:CAD2/I-DEAS/NX |
もう、現在の大手自動車メーカー(完成車メーカー)で23年ほどこの仕事に携わっていますね。
継続は力、部品メーカーの経験が
大手自動車メーカー(完成車メーカー)で活きる

部品メーカーでの経験は、完成車メーカーでの仕事に直結しています。完成車メーカーには、私のようなバックグラウンドを持つ人間がいないので、新しい視点を提供できますし、材料選びから設計まで一連のプロセスを理解しているため、より実用的なアドバイスができます。また、部品の知識があるので、冷却部品の設計に新たなアプローチを試みることや、車全体の性能や安全性を高めるための提案ができていると感じますね。
5年、10年ずっと変わらないものを変えた
同じ業界で長年働いてきたからこそ、できることがある
―同じ業界で働き続けることで、できることや仕事の幅が広がっていくのですね
長年にわたって同じ業界で仕事を続けることで、その分野における深い知識がつきますし、長年の経験を持つ人の言葉には重みがあると思っています。過去の失敗から学んだ教訓は非常に価値があり、新たな課題にぶつかった時にも役立ちますね。
また、同じ配属先で長期間働くと、組織内での人間関係も構築しやすくなりますし、仕事もしやすくなります。指導する立場になった時、自分が経験したことを後輩に伝えることができますから。今後は、さらなる知識の深化と共に、人材育成にも力を入れていきたいと考えています。自分の知識や経験を若手エンジニアに伝え、彼らの成長をサポートすることも私の役割だと思っています。
自分のアイデアや設計が形になり、
多くの人の生活に直接影響を与える
―自動車の設計開発のやりがいはどのような点でしょうか?
自動車の設計開発のやりがいは、3DCADを使用して自分のアイデアや設計が実際に形になり、それが多くの人の生活に直接影響を与えることだと思います。これまで多くのプロジェクトに携わってきましたが、先端の技術や製品の開発に関わることができたり、自分が書いた図面、アイデアが実際に採用されたりすると嬉しいですね。仕事を通じて、社会に貢献できると感じる瞬間は、何物にも代えがたい喜びですね。
―逆にプロジェクトで大変だったことはありますか?
はい。実際にあるプロジェクトで、車の不具合を修正するために九州の工場に1週間滞在し、数千台の車を分解して修正作業を行った経験があります。その作業では、多くの人を集めて、細かく役割分担をしながら対応しました。大変でしたけど、この経験は技術者としての責任と、チームで協力して困難に立ち向かう大切さを教えてくれましたね。
自動車業界に長年勤める
機械設計エンジニアのとある1日の流れ

- H.Mさん
- 1日のタイムスケジュール
- 8時 メールチェック
- 9時 会議
- 12時 ランチ
- 13時 会議
- 16時 サプライヤーとの調整
- 17時 他部署との調整
- 18時 図面チェック承認
- 20時 帰宅
他の社員が出社する前にメールチェックを終わらせて、今日やること、明日やることを整理していますね。1日100件以上メールが来るんですよ(笑)なので、ゲームを攻略するようにメールを整理していきます。今は立場的に1日の3分の1がリモート会議を占めていますね。代表者が会議に参加して、メンバーにシェアする感じで効率化を進めています。その他、サプライヤーとの調整、他部署との連携、調整がメインです。残業はその時期によりますが、1日2、3時間程度で、金曜日は定時に帰ります。
―仕事をしていく上で、大切にしていることは何でしょうか?
技術者として、新しい知識を吸収し続けることはもちろん、自分の成果が他者に盗まれないように保護すること、そして社内外のルールや安全基準をしっかり守ることが、信頼されるエンジニアでいるためにも大切だと思います。情報セキュリティ、コミュニケーション、会社のルール・マナーの遵守など、基本的なことですがやはりこういったことを大切にしています。
―機械設計開発の分野で働く魅力は何だと思いますか?

仮想空間で構想したアイデアを現実のものに変える
機械設計開発の魅力は、仮想空間での創造から現実世界での具現化に至るまでのプロセスそのものではないでしょうか。CADというシステムを使って、車両の組み立て、衝突解析モデルの作成、流体モデルを使った風の流れのシミュレーションなど、多岐にわたる技術を駆使して、最終的には人々が触れることのできる製品を生み出せます。この仕事は、技術的なスキルだけでなく、創造力も求められますが、非常にやりがいがあると思いますよ。
自分の興味や好奇心を追求し続けることが大切
―学歴や専門分野が異なる人でも、機械設計エンジニアになることは可能でしょうか?
はい。可能だと思いますね。実際に文系出身で機械設計エンジニアになった人もたくさんいます。大切なのは、好奇心を持って、新しいことを学ぶ意欲です。技術的な知識だけでなく、新しい解決策を模索する好奇心と、挑戦を恐れない心、失敗から学ぶことができる柔軟性があれば、機械設計エンジニアとして活躍できると思います。実は、社会に出てからの学びの方がずっと重要です。学校での勉強は基礎を学ぶには良いのですが、実際の仕事では新しい技術や手法を常に取り入れていく必要があります。仕事で使う知識やスキルの多くは、実際に仕事をしながら学ぶものです。
もし、今の自分自身のスキルに自信がなくて機械設計エンジニアになることを諦めようとしているなら、ぜひチャレンジしてみて欲しいですね。興味や好奇心を追求し続けることができるなら、機械設計エンジニアとして活躍できると思いますよ。
- 好奇心を追求できるスキルがあるなら
ためらわずに、ぜひ挑戦を。
技術が進化し続けるこの分野では、学び続ける意欲が重要になります。また、自分がどんなに知識がない状態からスタートしても、努力と経験を積むことで必ず成長できるはず。機械設計エンジニアとしてのキャリアを築きたいなら、まずはその一歩を踏み出し、チャンスをつかみ取ってみてはいかがでしょうか。
当メディア「メカメディ」のスポンサーであるマイナビEdgeでは、実務未経験からでも機械設計エンジニアとして活躍するための研修制度を用意し、エンジニアの希望にあわせて配属先を紹介してくれます。マイナビEdgeについて詳しく知りたい方は、ぜひこちらもご覧ください。
Zenken株式会社
当メディアでは「機械設計エンジニア」という職業に注目!「実務未経験から機械設計エンジニアになるための方法」をはじめ、各業界の機械設計・開発のお仕事の魅力を発信しています。なお、このページはZenken株式会社、メカメディ編集チームが調査し、まとめています。